ペダン鳥

 心の狭い人間なので、小説やらなんやらにおいて自分の知らないことが、自明のことして書いてあると、多少不愉快になることがある。金井美恵子は『目白雑録』で

自分のまったく知らない、しかし、たいていの女なら知っている女子供の服飾や手芸についての言葉が出て来る、というだけで一種の拒否反応をおこすのは、もちろん、ある種の男特有の現象だろう。

と書いていて、これを読んだころは、おほほほ、わたしはこんな心の狭い人間にはならないですわなどと笑っていたのだけれど、読んでいる文章に自分の知らない事柄が出てくると舌打ちするようになってしまった。